村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

苦労してもち米をそこで買うのはやっぱり美味しいからだった。
店で出す餅の評判も悪くない。

「女将さん、いる?」
もち米屋の開け放たれた戸口に立って声をかけると、奥からかっぷくのいい女性が出てきた。

年齢は葵の両親と同い年で、昔なじみの関係でもある。
「葵ちゃんいらっしゃい。準備しておいたわよ」

女将さんはそういうと店の奥からもち米の袋を取り出してきた。

葵は1度に5キロのもち米を買って帰るようにしている。
5キロあれば明日明後日の餅が作れるし、少しは自分の口にも入る。

そしてなくなったらまたここへ来る。
「少しだけおまけしておいたからね」
「ありがとう女将さん」

もち米の袋を持ち上げるとずっしりと重たい。

手伝いを始めたばかりの頃はこれが岩のように重たく感じたけれど、今では力もついて片手で持てるくらいにはなった。

「立派になってまぁ」
懸命に働く葵の姿を見て女将さんの目に涙が滲んだ。