村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

そんな気持ちが通じることはなく、夜遅くになってやってきたのは街の人だった。
「葵ちゃん、落ち着いてよく聞くんだよ」
その人は近所の奥さんで、葵の両親と同年代だった。
顔がボヤけてみえなくても、もう声だけで判断できる相手だ。
「どうしたのおばちゃん。なにがあったの?」
昼過ぎには戻ると告げて家を出た両親がまだ戻ってきていないことと相まって、不安な気持ちが加速していく。
「今日ね、隣町までいく山道で土砂崩れが起こったんだよ」
「え……」
それは初耳だった。
最近は日照り続きだったり、山が崩れる心配なんて誰もしていなかったときの事故だった。
「日頃からもっと山をよく見ておけばよかったんだけどねぇ……。そこで、あんたの両親が巻き込まれたんだよ」
「それって本当ですか? 本当に、私のお母さんとお父さんだったんですか?」
葵は身を乗り出して質問した。
この目で見ていないものは到底信じられない。