村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

ちゃんと味見をしてから出したから変な味はしないはずだけれど……。

そんな風に考えていると旅人は一気に冷たい汁を飲み干して、大きく息を吐き出した。

「いや、これは美味しいですね。もういっぱいいただけますか?」

その言葉に葵は喜んで頷いた。
旅人から汁椀を受け取り、鍋に向かう。

旅人を待たせるわけにはいかないことと、よほど暑かったのだろうということを考慮して作った冷や汁が、こんなに好評とは思わなかった。

旅人はすぐに2杯目も感触して、葵にお金を渡して店を出ていった。

葵はその金銭を手に載せたままジッと見つめた。
はじめて1人で店を切り盛りして得たお金だ。

父親は勝手なことをしてと怒るだろうか。
だけど悔いはない。

葵はその旅人の背中が見えなくなるまで、店先で見送り続けたのだった。

☆☆☆

今日の出来事を早く両親に伝えたい。