村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

足元をみるとドロまみれで、一体どこを歩いてきたのかと勘ぐりたくなった。

「これはすみません。あまりに熱くて、そこの川で水浴びをしてきたんです」

青年が葵の視線の先に気がついてそう言った。
「最近日照り続きですから。どうぞ、簡単なものしかないですけど」

青年の顔はボヤけて見えなかったけれど、その声が優しくて落ち着くものだったので、葵は店へと引き入れた。

とはいえ、両親は早朝から隣町へ出かけているためなにも準備はできていない。
葵は簡単な汁物を作って旅人に出した。

それは冷たい井戸水に味噌を溶かして生で食べられる山菜をできるだけ細かく千切って入れたものだった。

「こんなものしかなくて、すみません」
自分ひとりで客をもてなしたことのない葵は少しの期待と大きな不安を持ってそれを旅人に出した。

旅人が汁椀を両手で持って口に運ぶ。
その喉者がゴクリと音を立てるのを聞いて心臓が早まった。