村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

前回の水害の件で陽神を恐れた村人たちが、災いがないようにと駆けつけてきている。

あれは少し手荒な真似だったと今でも思うけれど、村人たちを改心させなければならないときもあるのだと、葵なりに納得していた。

「葵、準備はできたか?」
「は、はい」

返事をすると袴姿の陽神が襖を開けて入ってきた。
結婚式の時は地味な色合いだったけれど、今日の袴は白色だ。

なにを来てもキラキラと輝いて見えるのは、陽神自身がかもしだす魅力の賜物だった。

「素敵だ葵。今すぐ抱きたい」
夏と春の前だと言うのに陽神はそう言って大股に葵に近づくと力強く抱きしめた。

「きゃっ」
夏と春が頬を染めて手で顔を覆う。
「ちょ、ちょっと、陽神さま!?」

これから村人たちの前に出るというのにこんなことをされたら困ると、両手で体を押し返した。

陽神は真剣そのものの表情で「報告は後日にするか。今日はこのまま……」なんて、考え込んでしまった。