村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

村人への報告はそれから一週間後の神域で行われた。

この日も結婚したときと動揺に朝から式神たちが忙しなく動き周り、宴の準備を始めている。

葵は夏と春につれられて髪を結い上げ、お披露目用の真っ赤な着物に着替えていた。

帯がキツイのではないかと懸念していたけれど、そこは神様御用達の着物だ。

白無垢と同じように動きやすく、窮屈さを感じない仕立てになっていた。
「お腹は大丈夫?」

春が心配そうに訊ねてくるので葵は「大丈夫よ、まるで裸でいるみたい」と、冗談めかして返事をした。

姿見に映った自分の姿を確認すると、白無垢姿に負けないくらいで思わずため息が漏れた。
これが自分だなんて信じられない気持ちだ。

「ふたりともありがとう。おかげですごくキレイになれたわ」
「葵ちゃんがもともとキレイだからだよ!」

と、青は褒めることも忘れない。
すっかり準備が整ったとき、宴会用の部屋も村人たちで埋め尽くされていた。