村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

寺子屋時代には毎日のように一緒に遊んでいたし、葵の作った餅を美味しそうに食べてくれた。

しかし舞は宴の席で逃げ出してしまった。
その姿を思い出すと今でも胸がチクリと痛む。

集まってきた村人たちが形だけでも葵に謝罪する中、舞とはひとことも言葉をかわさなかったのはやはり気がかりだった。

「神様の子供を身ごもったんだから……と、言いたいところだけれど、本当はワタシが自慢したいだけだな」

陽神はそう言って愉快そうに笑った。
最近陽神は子供のような笑顔を浮かべることがある。

それは葵との距離が近くなって、心を開いてくれたということだろうかと、少しばかり嬉しくなる。

考えてみればやんちゃな夏と春は陽神の分身でもあるのだから、ああいう子供っぽいところを持ち合わせているということだったんだろう。

「自慢ですか。いいですよ、それなら付き合います」
葵はクスクスと笑って答えたのだった。

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