村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「でも、私達の作物はダメになりました！　これじゃ売ることも買うこともできません！」

「それなら余計にもち米が重宝しそうだな。あぁ、でもお前たちはもち米屋のことを笑い者にし、攻撃し、村八分にしたんだったか。それならもう、食べるものはなにもないと思え」

陽神の表情が変わった。
目が釣り上がり、冷たい空気が体をまとい始める。

村人たちもその変化に気がついたようで、戸惑った表情を浮かべた。

「そ、そんなこと言っても、食べるものがないと俺たち全員死んじまうんです！」
1人が立ち上がって叫んだ。

それは葵のことも女将さんのことも罵倒したことのある男だった。

浅黒く日焼けした顔は意地悪く歪んでいて、いかにも人を傷つけることを好んでいそうだった。

「それなら、今ここで自分たちがしたことを二人に謝罪し、二度と誰のことも傷つけないと約束するんだ。そうすれば村野作物は水害にも負けず、大きく育つだろう」