村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「女将さん、大丈夫ですか?」

庭先で村を見下ろしている女将さんの横にそっと寄り添う。

ここから村を見下ろしてみると、まるで海を見ているようだ。

あれだけ降っていた雨は今日の朝ようやく降り止んで、今では太陽の光が村を浸している水をキラキラと照らし出していた。

「きれいだね葵ちゃん。村が沈んでいるっていうのに、ここから見る村はなんてきれいなんだろうね」

女将さんは視線を村へ向けたままで呟いた。
水は村の汚い部分もすべて覆い隠して透明にしてしまう。

それは神秘的とも言えるほど美しい景色だった。
水面が波のように揺れると光の反射も変化して、ずっと見ていても飽きない。

葵は女将さんの手をそっと握りしめた。
柔らかなその手の平にはいくつも豆ができていて、毎日力仕事をしてきたことを伺わあせた。

「女将さんの家は大丈夫よ。米も無事だと思う」