村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

だけど作物がダメになると本当に困ってしまう。
「それが目的だ」

何食わぬ顔で陽神が言った。
「え?」

「自分たちの作物が水に濡れてダメになったとき、もち米屋に人が殺到するはずだ。そうなったとき、自分たちが相手にしてきたことを悔いることになる。今回は村人たちにそれを教えたいと思ったんだ」

陽神は言おうとしていることの意味はなんとなく理解できる。

それでも村人が飢えるようなやり方は葵は反対だった。

「大丈夫だよ葵。そこまで心配するようなことにはしない。ただ、改心させなければならない村人が多すぎただけだ」

陽神がそういうのであれば、それを信じるしかない。

そもそもこの神社は村人が作ったものだし、陽神にとって執拗な信仰心だって村人たちから得ているものだ。

いくら水害にあっても死者は出ない。
葵はそう信じて頷いたのだった。

☆☆☆

それから三日三晩、陽神が言っていた通り豪雨は続いた。