村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

広い部屋の中を夏と春とクロが駆け回っている。
みんなで遊んでいるという様子ではなく、夏と春がクロを追いかけ回しているという図のようだ。

「ちょっとふたりとも。そんなに追いかけ回したらクロが可愛そうでしょう?」

葵が声をかけるとクロが一目散に近づいてきた。
葵がクロを抱き上げて優しく撫でる。
「追いかけっ子をして遊んでたんだよ」

夏はそう言うけれど心底信用ならない。
葵は呆れ顔だ。

「あらあらこの子たちったら。村に来た時も大暴れだったわよ」
女将さんが思い出し笑いをしてふたりを見つめる。

葵と一緒に村へ降りた時も石を投げてきた子供たちに噛み付いていたし、今日もなにかしら元気なことをやらかしてきたようだ。

葵はいつかこの子たちが一大事をしでかすのではないかと、気が気ではない。

そうこうしているうちにどこかへ行っていた陽神が戻ってきた。
「湯神さま、村にひどい雨が降っているみたいです」