村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

綺麗な着物が駆け寄ってきて、すぐ近くに来てようやく舞の顔がわかった。

最近、メガネをかけていても見えにくいと感じることが多くなった気がする。

「大丈夫だよ。ちょっと躓いただけ」
「血が出てるじゃない!」

舞がかがみこんで手ぬぐいを取り出すと、葵の膝に当てた。
白い布に赤い血が広がっていくのが見えて葵が慌てて「ごめん」と、謝る。

「なんで謝るの?」
「だって、手ぬぐいが……」

「気にしないで。こんなの家にいくらでもあるから」
舞は葵に気にしないようにそう言ったのだとわかっている。

だけど葵の胸にはチクリと刺さるものがあった。
自分の家は今とても大変なのに、どうして舞はこんなに裕福で幸せそうなのだろうと。

やはり、父親の考え方は間違えているんじゃないか。

店はもっともっと繁盛させなければならないんじゃないか。

そんな気持ちになってきて慌てて左右に首を振った。
ここはもう神様の領域だ。