村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「いいんだよ葵ちゃん。それよりも……」

女将さんは右手を離して、今度は葵の腹部にそっと触れた。
「お医者さんが言ってたよ。おめでただって」

その言葉に葵は一瞬硬直して、それから「え?」と聞き返した。
自分の聞き間違いだろうか?

何度もまばたきをして女将さんを見つめる。
「神様の子供を授かったんだよ。葵ちゃんは」
女将さんの目に涙が浮かんでくる。

それを見てようやく嘘ではないと確信した。
女将さんは涙もろくて、とくにお祝い事には弱いタチだ。

「本当に? 本当にお医者さんがそう言ったの?」
葵は女将さんにすがりつくようにして質問を繰り返した。

女将さんはほほえみながら涙を流して何度も何度も頷く。
春と夏は大喜びで、部屋中を駆け回って「やった! やったぁ!」と、声を上げる。

「とにかく、今日はもう帰りなさい。ちゃんと神様に報告して、大事にするんだよ」