村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

その声は近所中に聞こえる声だった。
あちこちの家から人が出てくる足音が聞こえてくる。

けれどそのどれもが女将さんを助けには来ない。
好奇心とか興味本位で様子を見に出てきただけのようだ。

「嘘でしょ。これって」
葵は自分の体から血の気が引いていくのを感じた。

さっきまで餅のおかげで元気だったのに、それは空気のぬけた風船のようにしぼんでいく。

「違うんだよ葵ちゃん。あんなの気にしなくていいんだよ」

女将さんが慌てて葵に駆け寄り、抱きしめた。
それでも葵はその場に立っていることが精一杯で、頭の中が真っ白になっていく。

葵が結婚したあと、村人たちの矛先がもち米屋へ向かったことは言うまでもない。
この店が傾いた原因は、葵にあったのだ。

「ごめんなさい。私のせいで、ごめんなさい」

女将さんが抱きしめてくれているのについに立っていることもできなくなって葵はその場にずるずると座り込んでしまった。