村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

しばらく悪意を浴びてこなかった葵は村人たちの言葉を受け流すことが難しくなっていた。

「ここらへんで休憩しない?」
元気な声でそう提案したのは夏だった。

夏はさっきから水路の中にいるカエルや魚に夢中で、あっちにいったりこっちに行ったりを繰り返しているから疲れたのだろう。

その額にはジワリと汗も見えた。
「そうね。ちょっと休憩しようか」

道の端にある大きな石に3人でこしかけて、葵は風呂敷を開いた。

笹の葉を開けるとまだいい香りが残っている餅を取り出す。
「いただきます」

3人で丁寧に手を合わせて餅を口に含むと、味噌の甘辛い味が広がって唾液が溢れ出してくる。
「うーん、美味しい!」 

春がほっぺたに手を当てて喜んでいる。

味は葵が作ったものと同じだけれど、何倍もおいしく感じるのは陽神が作ってくれたからだろうか。

だとしたら少しずるい。