村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

中には葵に好意的な挨拶をしてくる村人もいたけれど、なに不自由無い神様の屋敷から出てきた葵を見て「神様に捨てられたんだ」と、ヒソヒソ話す人達もいた。

もともと葵はこの村で疎ましがられていた存在だから、神様から離縁されることを望む村人も多かったようだ。

わかっていたこと。
わかっていたことのはずなのに、陽神と一緒にいる間幸せすぎてすっかり自分の立場を忘れてしまっていた。

結婚する前まではなにを噂されても動じなかった葵だけれど、なにか悪いことを言われるたびにチクチクと胸が痛む。

「いつの間に私はこんなに弱くなってしまったんだろう」
村を歩きながら葵はつぶやく。

悪口が聞こえてくるたびに胸が重たくなってきて、足取りが遅くなっていく。

「葵ちゃん、大丈夫?」
葵の異変に気がついた春が心配そうに着物の裾を引っ張ってきた。

「うん。大丈夫だよ、心配かけてごめんね」
そう答える声が震えてしまう。