村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「そうか。葵にとっては村が故郷でもある。でも……」
そこまで言って口をとじる陽神。

「でも、なんですか?」
「いや、なんでもない」

気になるところで会話を中断されて葵はモヤモヤとした気持ちになる。
「気になるじゃないですか」

「これから村へ行くのなら、わかることもあるかもしれない」
陽神はそう言うと葵の作った味噌汁を一口飲んだ。

そして微笑み「うまい」と呟いたのだった。

☆☆☆

村へ行く身支度を整えた葵と夏と春の3人は、陽神に本殿へ呼ばれていた。

これから出かけるという矢先にどうしたのだろうと思いつつ、まさか今更止められるんじゃないかとヒヤヒヤしながら本殿へと向かう。

木の戸を開けて中に入ると、陽神が紺色の風呂敷をもって待っていた。
「これを持っていくといい。道中に食べていいから」

そう言ってさしだれた風呂敷を開けてみると、そこには笹に包まれた餅が3つ入っていた。