村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

一体誰が来たんだろうと草木の間から境内を覗いてみると、そこには見慣れた恰幅のいい女性の姿があった。

「女将さん!?」
思わず声を上げてしまい、両手で自分の口を塞ぐ。

女将さんは体型が体型だけにここの石段を上がってくるのがキツイ。

だから普段はお祭りなどがあっても下から様子を伺うだけで、滅多に境内までくることはないのだ。

葵の結婚のときは別として、本当に珍しいことだった。
女将さんは石段を上がりきったところで両手を膝について「ぜぇぜぇ」と息を吐き、額から汗を吹き出させている。

あんなにまでなってここへ来たということは、よほど大切なお祈り事があるに違いない。

女将さんはどうにか呼吸を整えると鳥居をお辞儀をしてくぐり、手水舎で丁寧に手と口を洗った。

そして本殿までやってきてもち米と山菜をお供えすると、キツク目を閉じて手を合わせた。