村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「あぁ。今日は誰かがここへ来る予感がするんだ」
「村の人でしょうか?」
「そうだろうな」

だから朝早く起きて身支度を済ませたようだ。
葵もすぐに着替えをして自分の布団を片付けた。

「誰かが陽神さまにお祈りにくるってことですよね?」
「おそらくは。ごくたまにお礼参りにも来るから、断言はできないけれど」

ここへきて初めての陽神の仕事だ。
どんな風に仕事をこなすのか見てみたいと思っていた葵はなんだか緊張してきてしまった。

「そうだ陽神さま。お餅を作りましょうか? 私が作るお餅は力がつくんですよね?」

「そうだな。それならお願いしようか」
「はい!」

まずは自分ができることから。
葵は着物の袖をまくりあげてやる気満々で台所へ立ったのだった。

☆☆☆

みんなで食卓を囲んで朝食の片付けを夏と春のふたりが始めたころだった。

ザッザッと境内を歩く足音が聞こえてきて葵は中庭へと飛び出した。