「う」

 服の上から胸を抑える。
 痛い。

 あなたにとって、私はどんな存在なの?

「鷹士さん。家事得意なんだよね」

 共有部分は物が少なくてスッキリしているし、スーツも小物類も手入れが行き届いている。

 キッチンや洗面所に至っては、モデルルームくらいにピカピカだ。

 居候させてもらっているぶん、役に立とうと考えていたのに、身の回りのことはさっさとしてしまう。

「……使用人ポジションではない、かもしれない」

 ふたたび期待の灯が胸に灯りそうになる。
 すると理性が過度な期待をしないよう、感情を戒めにかかる。