「……むしろ、悠真さんに嫌われていたのかもしれないな……」

 彼は、私が『宗方家の使用人の娘だから仕方なく構ってくれてた』んだろう。

 口の中が苦く感じる。
 やめよう。
 悠真さんのことを考えると、思考がどんどん闇に染まる。
 本来、彼に感謝しなければいけないのに恨んでしまいそうになる。

「明るいことを考えよう」

 思った途端、鷹士さんのことを考えてしまう。

 この一ヶ月と言うもの、私は彼に頼りきりだ。

 鷹士さんは与えてくれすぎる。
 私ばかりが満たされている。
 全然返せてなくて申し訳ない。

 こんなに気を遣ってもらって、彼を疲れさせているのではないだろうか。
 甘えっぱなしはだめだ。
 そう考えるのに。

「私ったら。鷹士さんと休みの日があうと、前日の夜からソワソワしているし」