「よく覚えてますね」
「日菜乃ちゃんのことならなんでも」

 どきん。

「と、言いたいところだけど。『割りと』、程度かな」

 鷹士さんの言葉に、私は小さく呟いた。

「……これで、なんですか」
「ん?」
「いえ」

 こんなにも私のことを理解してくれるのが、鷹士さんにとって『割と(・・・)』ならば。
 私の誕生日も祝ってくれたことのない悠真さんは。

 二人の、私への接し方の差があまりにもはっきりしすぎている。
 
 比べてはいけない。
 私だって、悠真さんと鷹士さんと全く同じに接しているわけではないのだから。
 でも。
 鷹士さんに大事にされていることを理解してしまうと、今までの日々に疑問が生まれてしまう。

 悠真さんを大好きだった日々を台無しにしたくないのに。