ふむ。
 私は考え込む。

 今回は手のひら大だった。
 全長二十センチ、厚さは二センチくらい。
 二人分がデフォルト。
 作り置きすると挽肉はどれくらい要るんだろう?

「ごめん」

 鷹士さんが謝ってきた。

「どうしたんですか?」
「日菜乃ちゃんの負担になるのに、たくさん食べたいとかワガママ言って……」

 どうやら私は、難しい顔をしていたらしい。
 しょげた顔の鷹士さんが可哀想で、私は慌てて弁解する。

「違うんです、作り置きしておけば楽だなって。鷹士さんの冷蔵庫、巨大だし」

 キッチンのほうをちらりと見た。
 悠真さんと同じくらいに見えたから、おそらく鷹士さんも一八〇センチ超え。
 キッチンに在します冷蔵庫は、彼よりはるかに大きい。

「ああ」

 彼がニヤリと笑う。

「災害時にはあの冷蔵庫さえあれば、生き延びられるよ。……中身を補充してあればね」

 つい、吹き出しちゃった。
 だいぶ充実してきたけれど、私がお邪魔したばかりの頃は空っぽだった。

「挽肉一キロ買っておけば、二、三回分は作れると思うんですが」

 私は眉をハの字にする。

「ですが?」

 鷹士さんはじっと私を見つめる。
 私は彼の双眸に魅せられた。 

 綺麗な瞳だなあ。
 黒曜石。ううん、黒真珠かな。艶があって、煌めいている。