「多分、悠真の家では家賃免除だったろう?」
「はい」

 ……鷹士さんの口から、悠真さんの名前を聞くのも辛い。
 それはともかく。

 悠真さんは外務省。
 彼の職場がある霞ヶ関は、私の職場からお濠を半周したところにあって、悠真さん宅は私の職場寄り。

 鷹士さんは警察庁でやっぱり霞ヶ関。
 お宅は確か、代々木だっけ。
 
「職場から三十分圏内で、君が満足できる距離の家賃」

 あ。
 サーと顔から血の気がひく音がした気がする。
 私はおそるおそる口にした。

「……やっぱり、お高いですか」

 無言で頷かれてしまった。