しかも『円盤投げ像』みたいに逞しい。……ではなくてっ。
 私はグルンと、首の筋を違える勢いで明後日の方角を向いた。

 だって彼の家だもの。
 鷹士さんが裸族でも、ビジターの私がとやかく言える権利はない。

「ウブな反応だね。仕事柄、ヌードなんて見慣れてるだろうに」
 
 こともなげに、爽やかな口調で言われちゃった。
 
「ヒ、と聞きノ悪イこと言わないデくだサイ。ちょ、彫像ハ、生きてないデスシ!」

 ドキマギしたあまり、片言になってしまう。
 すると覗き込んできて囁かれる。

「日菜乃ちゃん」

 視線がバッチリ合ってしまう。

 そらした先には彼の唇が。
 どこもかしこも艶めかしい鷹士さんのオンパレード!

 私、失神しなかった自分を褒めてあげたい。
 なのに、鷹士さんは恐ろしいことをのたまった。

「いずれ慣れるよ」

 いずれって、どういう意味?
 問いただしたい、でも聞いてはいけない気がする。

 私は口をぱくぱくするしかできない。