さらに数時間後。
 刑事部長へ聴取したところ容疑を認め、宗方悠真は関与していないことがわかった。
 彼の父の龍仁は。

「宗方龍仁氏は、第一報を聞いた直後。信じていた後援会会長に裏切られた衝撃で、急遽入院したそうです」

 捜査員からの報告を、鷹士は冷たい表情で受け止めた。


 ……ブラインド越しに差し込む朝日が目に痛い。

「マル被、じゃなかった。奥さんへの監視を解きますか?」

 目をしょぼしょぼさせた課長補佐が鷹士に確認するが、厳しい表情のまま。

「まだだ。徳治の動きが気になる」

 逆上して日菜乃に危害を加えるかもしれないと、呟いた直後だった。

「課長っ! マル被・榊徳治発見!」

 監視カメラを確認していた捜査員の一人が叫んだ。
 刹那、空気を緩ませていた会議室は緊迫する。

「どこだっ」
 
 課長補佐が吠えた。
 呼応した捜査員の報告を聞いた瞬間、鷹士は走り出した。
 動きながら指示を出す。

「賀陽日菜乃の勤務している美術館だっ、急行する!」
「課長に続け!」
「はッ」

 日菜乃!