「宗佑さんの友人によると、送られてきた手紙に写真が添付されていました。妻を亡くした嘆きを描いたのだと」
「俺も日菜乃が先に亡くなったら、それくらい嘆くよ」
妻の耳を喰みながら囁けば、彼女は縮こまった。
うなじまで紅く染まっていて、ずくりと欲が湧き起こる。
誤魔化すためか、日菜乃が慌てた声を出す。
「っこれ、サインが変」
妻の言葉にピンと来てしまったのは、警察官としての勘としか言いようがない。
「なにが?」
慎重に確認する。
「病床に伏していた月さんの握力は、細いサインを描けるほどもなかったようなんです」
日菜乃の答えは、問いとは無関係なように思えた。
「サインだけは、十二作品全て宗佑さんの手によるものなんですけど……」
日菜乃の声が自分でも聞きたくないように、低く微かになる。
鷹士はますます彼女をしっかりと抱えこみ、密かに携帯をアクティブにする。
「そう。どこで見たんだ?」
「……この作品、宗方のおじ様のお気に入りなんです」
宗方の家で見たことがある、との日菜乃の言葉。
「宗方のおじさんは、この絵をなんらかの理由で手放したのかもしれないな」
鷹士は疑惑が大きくなりつつあるのを感じながらも、違ってほしいと願う。
「俺も日菜乃が先に亡くなったら、それくらい嘆くよ」
妻の耳を喰みながら囁けば、彼女は縮こまった。
うなじまで紅く染まっていて、ずくりと欲が湧き起こる。
誤魔化すためか、日菜乃が慌てた声を出す。
「っこれ、サインが変」
妻の言葉にピンと来てしまったのは、警察官としての勘としか言いようがない。
「なにが?」
慎重に確認する。
「病床に伏していた月さんの握力は、細いサインを描けるほどもなかったようなんです」
日菜乃の答えは、問いとは無関係なように思えた。
「サインだけは、十二作品全て宗佑さんの手によるものなんですけど……」
日菜乃の声が自分でも聞きたくないように、低く微かになる。
鷹士はますます彼女をしっかりと抱えこみ、密かに携帯をアクティブにする。
「そう。どこで見たんだ?」
「……この作品、宗方のおじ様のお気に入りなんです」
宗方の家で見たことがある、との日菜乃の言葉。
「宗方のおじさんは、この絵をなんらかの理由で手放したのかもしれないな」
鷹士は疑惑が大きくなりつつあるのを感じながらも、違ってほしいと願う。



