退室していった鷹士の背中をヒソヒソ話が追いかける。
「こえー……。奥さんがマル被になっても眉ひとつ動かさないのかよ」
「むしろ奥さんの言葉で、行き詰まってた捜査のヒント得たって言うのに」
しかし、誰かが感動したように呟く。
「さすがは賀陽警視正だ。機動隊の同期が言ってた、『あの人の指揮は信用できる』って。俺も一票」
ダン!
一人きりになれると、鷹士は壁を拳で殴りつけた。
「日菜乃……!」
側にいてやりたい。
だが、鷹士が傍にいれば日菜乃への疑いをますます強めるだけだ。
携帯を取り出す。
【急遽七日間の出張になった】というメッセージを送るためだ。
「……日菜乃は覚えているだろうか」
鷹士は呟く。
ある日。
抱き合った余韻に揺蕩う日菜乃に囁いた。
『これは、日菜乃と俺との間の暗号』
『……ん……』
『普段は急遽とn日間の間に句読点を入れる。暗号には入れない。このメッセージが来たら、守秘義務が生じたという意味だ。俺と連絡が取れなくなっても心配しないでくれ』
『…………ウン……』
「頼む、覚えていてくれ」
祈る想いで携帯をアクティブにした鷹士は、目を見張った。
「こえー……。奥さんがマル被になっても眉ひとつ動かさないのかよ」
「むしろ奥さんの言葉で、行き詰まってた捜査のヒント得たって言うのに」
しかし、誰かが感動したように呟く。
「さすがは賀陽警視正だ。機動隊の同期が言ってた、『あの人の指揮は信用できる』って。俺も一票」
ダン!
一人きりになれると、鷹士は壁を拳で殴りつけた。
「日菜乃……!」
側にいてやりたい。
だが、鷹士が傍にいれば日菜乃への疑いをますます強めるだけだ。
携帯を取り出す。
【急遽七日間の出張になった】というメッセージを送るためだ。
「……日菜乃は覚えているだろうか」
鷹士は呟く。
ある日。
抱き合った余韻に揺蕩う日菜乃に囁いた。
『これは、日菜乃と俺との間の暗号』
『……ん……』
『普段は急遽とn日間の間に句読点を入れる。暗号には入れない。このメッセージが来たら、守秘義務が生じたという意味だ。俺と連絡が取れなくなっても心配しないでくれ』
『…………ウン……』
「頼む、覚えていてくれ」
祈る想いで携帯をアクティブにした鷹士は、目を見張った。



