鷹士さんがほしくてたまらない。
 同時に早く私を奪ってほしかった。

 ……焦がれつつ、想像していた『愛し合う』行為とずいぶん違うなと思う。

 もっと、静謐で気高いものだと信じ込んでいた。
 こんなに野蛮で淫らだなんて、思ってもみなかった。

「日菜乃」

 は。は、と荒い息をはきだしながら、鷹士さんが声をかけてくれる。

 汗に濡れた肌。
 鬱陶しそうに髪をかきあげる姿は、どうしようもなく艶かしい。

 私も、いつのまにか一糸まとわぬ裸にされていた。
 腕にも、見える所にも点々と鬱血痕。
 嬉しい。

「これが俺だ。怖いか」

 普段は黒真珠のように艶めいた双眸が、今は黒曜石のように鋭利で物騒な輝きを放つ。

 猛々しく、暴風雨のように私を翻弄するのが鷹士さんの本性なんだと、唐突に理解する。
 それがどうしたの?
 鷹士さんが獣なら、私だって獣だ。

 私は両腕を彼に向かって差し出す。

「鷹士さんがほしい」

 ……彼は一瞬、泣きそうな顔になった?

 けれど。
 気のせいだったかと思うほど、凶暴な表情を浮かべた。

「日菜乃、愛してるよ」

 囁きながら、鷹士さんは私を喰らった。