私の育ちを。
 私の生き方を。
 全部、肯定してくれた。

 涙がブワ、と出てくる。
 とめられなくて、カップの中にぼとぼとと落としてしまう。

 鷹士さんの手がそのまま涙を拭ってくれる。

「……わだじ……、だがじざんのお嫁ざんになっていいでずが」

 唇から言葉がするりと出た。

 もう誤魔化せない。
 この人のことを、蕾が花開いていくように自然に好きになっていた。
 二度目の公開プロポーズを受け入れたのは、私自身が彼の人生を欲しかったからだと、ようやく悟る。

 彼が微笑んでくれる。

「日菜乃以外、欲しくない」

 彼の指が宥めるように動き、唇をなぞられた。
 涙に霞んだ目でも、鷹士さんの双眸が情欲に濡れているのがわかる。

俺達(・・)の家へ帰ろう? 眠れるように『White eye』を淹れて」
「そういえば、なんでメジロなんですか」

 今なら教えてくれるかもしれない。
 ああ、と。
 鷹士さんはごく普通の調子で教えてくれた。

「メジロって一度番になったら、一生添い遂げるらしいんだ」

 理解した途端、泣きそうになる。
 そんな意味で、あのコーヒーを探してくれたんだ……。

 鷹士さんが困ったような表情になる。