時間はあっという間に過ぎていき、ふたりは相変わらず和気あいあいと食事をしている。突然、奈津美の手は止まった。そして温かい視線を優里にやる。
「優里、生まれた時から今もずっと……愛しているよ」
「どうしたの突然。なんか、照れる。あ、もしかして、それがお母さんが言えなくて後悔していた言葉?」
「そう。なかなか言えなかったなって、ふと思って。ここでだったら、あらたまってきちんと言えるかな?って」
「なんか不思議。お父さんの時の話を聞いていたけど……時間は特に戻ってなくない?」
「……だね!」
「でも今、理想の時間に会える時だよね? だから、普段言えないこと言っちゃおうかな! 私もね、お母さんが大好きだよ! 生まれた時から、ずっと!」
ふたりを見ていた柊と剛は目を合わせ、微笑みあった。
ここで働いていると、色々なドラマを観る。そして自分と重ね合わせる。亡くなった母はよく「柊が大好きだよ」と言ってくれていた。たくさん笑い合ったし、怒ってもくれた。きちんと向き合ってくれて、愛してくれていたんだなと思う。だけど、母が消えてしまってからもずっと、まだまだ愛されていたいとワガママなことを願ってしまう――。
「剛さん、僕は、まだたくさん母に甘えたかったんだと思う――」と柊が呟くと、剛はしばらく無言で優しく、柊をじっと見つめていた。
*
「優里、生まれた時から今もずっと……愛しているよ」
「どうしたの突然。なんか、照れる。あ、もしかして、それがお母さんが言えなくて後悔していた言葉?」
「そう。なかなか言えなかったなって、ふと思って。ここでだったら、あらたまってきちんと言えるかな?って」
「なんか不思議。お父さんの時の話を聞いていたけど……時間は特に戻ってなくない?」
「……だね!」
「でも今、理想の時間に会える時だよね? だから、普段言えないこと言っちゃおうかな! 私もね、お母さんが大好きだよ! 生まれた時から、ずっと!」
ふたりを見ていた柊と剛は目を合わせ、微笑みあった。
ここで働いていると、色々なドラマを観る。そして自分と重ね合わせる。亡くなった母はよく「柊が大好きだよ」と言ってくれていた。たくさん笑い合ったし、怒ってもくれた。きちんと向き合ってくれて、愛してくれていたんだなと思う。だけど、母が消えてしまってからもずっと、まだまだ愛されていたいとワガママなことを願ってしまう――。
「剛さん、僕は、まだたくさん母に甘えたかったんだと思う――」と柊が呟くと、剛はしばらく無言で優しく、柊をじっと見つめていた。
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