幸せの道しるべ~理想の時間に逢えるカフェ

 柊は、ひとつだけ剛に聞かなければならないと思うことがあった。

「違う人の話かもしれないですが、剛さんの、その、亡くなった人の話って、僕の母ですか?」

 剛は柊をじっと見つめると、無言で頷いた。

「俺は自分勝手に生きすぎて、自由だけを求めて家族とわだかまりを残したまま地元を離れて……ここに戻ってきた時には、突然倒れた若菜はもう何も話せない姿で。喧嘩をしたままの状態で俺を嫌ったまま、この世からいなくなってしまった。喧嘩する前は、何回も『一度戻ってきてほしい。きちんと話をしたいし、家族とも話をしてほしい』と言っていた。あの時、もっと耳を傾けていれば……」

 虚ろな目になる剛に対して、柊は何も言えなかった。