整形ストーカー

「そうなんだ」
私は話半分に聞きながら雪菜の食べっぷりに目を丸くする。

雪菜はこれで3杯目のはずだけれど、全然ペースが落ちていない。
「高校の卒業式の後ってさ、みんなでパーっとカラオケとか行くじゃん? それもダメって言うんだよ!」

大きなからあげを一口で食べて文句を続ける雪菜。
「カラオケ行けなかったの?」

「無理やり行った」
雪菜はそう言って豪快に笑った。
私もつられて笑い出す。

そういえばカラオケなんて随分行っていないと思い出す。
あの件があってからは1度も。

嫌な過去を思い出してしまいそうになり、慌てて左右に首を振って怜也の存在をかき消した。
「雪菜が寮に入るのは反対されなかったの?」

「されたよぉ! ウチの家お金があるからさ、そんなところで勉強する必要はないとかなんとか、言われたんだよねぇ」
「お金持ちなんだ?」
「うん、まぁなんか、そうっぽい?」