整形ストーカー

それはいつものお母さんだった。
髪色を変えたくらいでは根っこは変えられないみたいだ。

だけどそれが妙に心地よくて笑ってしまった。
「寮に入るならそんなに心配もないか。でも、なにかあったらすぐに連絡しなさい」

お父さんの言葉に後押しされて、私は他の子たちより1年遅れてひとり暮らしを開始することになったのだった。

☆☆☆

私が隣県の職業訓練校を選んだのは、少しでも地元から離れたかったことも理由のひとつにある。
あそこにいたらきっといつまでも怜也のことを忘れることができない。

バイト先だったファミレスの前を通ったとき。
母校の校門を見たとき。
怜也のアパート。

そしてあのトンネルに近づいてしまったとき。
様々な場面で傷口が開き、私の心を蝕んでしまうから。

きっと、そういうことも私の両親は理解していたんだと思う。
家を出る当日の朝、両親は今までにない笑顔で私を送り出してくれた。