ホッとしてそう呟いたとき、クローゼットが視界に入った。

雪菜はクローゼットにほとんどの荷物を入れてしまっているから、こんなにきれいな空間を保つことができているんだろうか。

そう思って立ち上がり、ふらりとクローゼットへ向かう。
そこで一度耳を済ませてみたけれど、雪菜が近づいてくるような足音は聞こえてこない。
私は意を決してクローゼットの戸を開いた。

カラカラと微かな音がして暗い空間が口を開ける。
クローゼットには雪菜が着ている服がズラリと掛けられていて、色別に分類されているのがわかった。

これならお気に入りの服も探しやすいだろうと関心しまう。
「ほら、なにもなかった」
スマホの中に私の写真が沢山入っていたのは疑問だけれど、ソレ以上のものはなにも出てこない。

ひとまず安心してクローゼットを閉めようとしたそのときだった。
一番隅っこにかけられている紺色の服に目が止まった。