客室には着替えやタオルまできっちりと準備されていて、まるでホテルに泊まりに来たみたいだった。
「今日は学校に行けそうにないなぁ」

ベッドの上に上半身を起こしてため息をつく。

足をひきずれば行けなくはないだろうけれど、剛志とどこかでバッタリ会うかも知れないことを考えると、外へ出る気にはなれなかった。

落ち込んでスマホを確認したとき、剛志から大量の着信が入っていることに気がついた。
昨日アパートを飛び出してから３０分おきに、夜中にもかかってきている。

それを見た瞬間やっぱり剛志は普通じゃないのだと理解した。
スマホの電源を落としてしまおうとしたとき、また剛志からの着信があって思わずスマホを床に落としてしまった。

ゴトリと音を立てたスマホがそのままブーッブーッとバイブで揺れている。
手に取るのも嫌な気がして鳴り止むのをジッと待っていると、ノック音が聞こえた。

「千尋、起きてるの？」
雪菜だ。