「そうだなぁ……もっとショックなことが起きればいいのかも。例えば、家族が死んじゃうとか?」
「死ぬ……」

鏡にうつる柚柚の目がキラリと光った。
柚柚がなにかをいいかけたタイミングでトイレのドアが開いて彩香が入ってきた。

「教室にいないと思ったらこんなところにいたんだ」
と、ふたりを交互に見てくる。

いつも一緒にいる彩香にはすべてを見透かされているような気がして、なんとなく視線をそらせてしまう。
「まさか、また悪巧み?」

「そんなことしないよ。ねぇ、柚柚?」
「そうだね、梨里」
トイレを出ていく双子の後ろ姿を彩香はジッと見つめていたのだった。