「うん。昨日散歩から戻ったあとに確認したらいなくなってて……きっっと私がちゃんと繋いでおかなかったんだと思う」

「本当にそうなの? 野犬がきて、ロープを噛みちぎったとかじゃなくて?」
「そんなんじゃないと思う。ロープごといなくなってたから」

さすがの愛乃だ。
パニックになりながらも状況をちゃんと確認して、その上で自分がロープをしっかり結ばなかったのがいけなかったのだと判断したようだ。

「でもきっと大丈夫だよ。そんなに悲しいってことは、ちゃんと大切にしてたんだよね? シロはきっと自分から家に戻ってくるよ」
「そうなったらいいんだけれど……」

愛乃はそう言って鼻をすすり上げたのだった。