幼い頃からずっと一緒にいた彩香ならホクロの位置で判断がつくけれど、先生なんかは困るだろう。
「すごく可愛いね。今度私もやってもらおうかな」

ふたりのスタイリングは自分たちでやっていないことくらい、彩香はすでに知っていた。
こんな手の混んだことをするタイプじゃないし、専用の使用人がしてくれたに決まっている。

「うん。今度伝えておく」
梨里は当然のようにそう答えたのだった。

それから学校への道のりは普段どおりに見えたふたりだけれど、時々上の空になることがあった。
彩香がなにかを質問しても、ふたりそろって聞いていないのだ。

「ちょっと、ふたりともなにかあった?」