恐怖姉妹

ようやくそのことを思い出した梨里は本棚へと近づいて行った。
二人が共有で使っている本棚の下部分には扉がついていて、梨里はそこにお菓子を入れておくことがよくあった。

「これ食べるかな」
梨里が取り出したのは塩分控えめに作られているクッキーだ。

たしか、父親が仕事で海外へ行った時にお土産で買ってきてくれた高級クッキーだけれど、ふたりの口にはあわなくて半分以上残ったままになっていたものだ。

「食べるんじゃない?」
柚柚が適当な返事をしてシロにクッキーを差し出す。

昨日からなにも食べていなかったシロはクッキーにかぶりつくと味わう余裕もなくあっという間に平らげてしまった。