恐怖姉妹

そんな会話が聞こえきて柚柚の目がまたつり上がってくる。
あの推薦枠をもらうのは自分のはずだったのにと、梨里の心の中にまで柚柚の声が聞こえてくる。

そうだね柚柚。
あの推薦枠は柚柚のもの。
きっと今からでも遅くない。

だから、愛乃の本性を暴く必要がある。
犬の散歩をする愛乃を追いかけていると、犬が草むらで用を足し始めた。
その姿を見て柚柚が顔をしかめる。

愛乃はそれが終わるのを待つと持っていたスコップで犬の糞をとると、ビニール袋に入れたのだ。
「うわ、汚い」

思わず梨里の口から声が漏れた。
ふたりはペットを飼った経験はないけれど、犬の糞の始末など絶対にしないという自信があった。