恐怖姉妹

「あの犬の名前シロだって。安直だね」
柚柚が鼻で笑うので、梨里も同じ用に鼻で笑った。

準備が整うと愛乃はシロを連れて散歩を始めた。
散歩コースは最初から決まっているようで、シロが愛乃より前を歩いている。

「こんにちは愛乃ちゃん」
「こんにちはおばさん」

近所の人との付き合いも欠かさないようで、すれ違いざまに挨拶を交わしている。
「愛乃ちゃんはもう大学を決めたの？」

「はい。N大学に推薦してもらえることになりました」
愛乃が背筋を伸ばし、頬を赤らめて答える。

「あらぁ、すごいじゃない！　愛乃ちゃんならきっと合格間違いなしね！」
近所でも愛乃が優秀なことは有名なのだろう。