恐怖姉妹

「毎日鍵を使うなんて、珍しいね」
柚柚がつぶやく。

しかも愛乃が使っていた鍵は銀色のもので、ふたりが知っている指紋認証やカードキーなどとは違うものだった。
あれじゃ簡単に複製されて家の中に侵入されてしまうだろうと思うと、少しだけ愛乃が気の毒に感じられた。

しばらく待っていると、水色のTシャツにジーンズという動きやすい格好で愛乃が玄関から出てきた。
その右手には黒いナイロン袋とスコップ、そして黄色のリードが持たれている。

それを見た瞬間白い犬が喜んでシッポを振り、愛乃に飛びついた。
「ちょっと待ってねシロ」

愛乃がそう言ってリードを犬の首輪に取り付けている。