恐怖姉妹

「あんな汚い犬、よく撫でられるよね」
犬の頭を両手でなでている愛乃を見て、柚柚がげぇと吐きまねをする。

それを見て梨里が声をあげて笑った。
白い犬は可愛がられているのがひと目でわかるほど毛並みがよく、スレンダーな体つきをしている。

きっと予報摂取などもちゃんと連れて行ってもらえているんだろう。
だけどそれは梨里の口からは決して言わなかった。

愛乃はさんざん犬を撫で回したあと、家の中へと入っていった。
家には人がいないようで、カバンの中から鍵を開けて自分で開けていた。

屋敷のような家には常に使用人がいて玄関の鍵は勝手に開いて、ドアを開けてもらっているふたりからすれば珍しい光景だ。