「ふたりならね」
私は同じように紐を握りしめた。

そして「できる。できるよ、ふたりなら」まるで呪文のように呟いた。

☆☆☆

「うっ……いった!」
ソファでくつろいでいた女性が突如苦しみ始めたのを見て、台所で後片付けをしていた男性が慌てて駆け寄った。

「大丈夫か? お腹が痛いのか?」
男性の手にはすでにスマホが握りしめられていて、いつでもタクシーを呼べる状態にあった。

それというもの女性のお腹は大きく、今にも破裂線ばかりに膨らんでいるのだ。
今月が臨月で、もういつ産まれてもいい状況だった。

女性は両手で大きなお腹をかばうようにしてソファに横になった。
「今、タクシーを呼んでやるからな」