モテる怜はこんな風に突然女子生徒から呼び止められることにも慣れているようで、別に驚いた表情も見せずに頷いた。
「今日の放課後話しがしたいんだけど、時間ある?」

ひと気のない廊下まで移動してそうきくと、怜は少しめんどくさそうな表情を浮かべて頭をかいた。
「今それどころじゃないんだ。君だって知ってるだろう?」

同じクラスの彩香がなにも知らないはずがない。
だから彩香は即座に「うん」と肯定した。

「だけど、どうしても伝えたいことがあるの。お願いします!」

懸命に頭を下げてお願いする彩香を見て、怜が軽くため息を吐き出した。