恐怖姉妹

今までだってそんな使用人を何人も見てきた。
「大丈夫。私がそんなことさせないから」

梨里がチラリとシェフへ視線を向けて言うと、今度は安心したようにため息を吐いた。
娘に料理を教えただけでクビになっていたのではかなわない。

そんなことで職を失うわけにはいかなかった。
未だに庭見合っている梨里と柚柚をその場に残してシェフはこそこそとその場から逃げ出したのだった。

☆☆☆

「げぇ、今日数学の宿題があったのか……」
３年A組の教室内で怜の悲痛な声が聞こえてきたとき、柚柚は反射的に立ち上がっていた。

机の中から自分のノートを取り出して怜へと近づいていく。
勉強に関しては柚柚の得意分野だ。