恐怖姉妹

きっと今までに感じたことのないほどの衝撃が来るはずだ。
骨が砕けて血肉が飛び散るかもしれない。

そんな覚悟をしていたときのこと。
「立て！」

そんな声がして腕を引っ張られていた。
梨里の下にいた柚柚もひきずられるようにして横へと移動する。

そこから先は瞬きする暇もなく、さっきまでふたりがいた場所に自動車が突っ込んでいたのだ。
自動車の前方がガードレールに激突してフロントガラスがクモの巣状にひび割れる。

ガードレールも外側へ向けてぐにゃりと歪んでしまっていた。
車からは黒煙が上がり始めて周囲にいた人たちが逃げ出す。

「車が燃えるかもしれない。早く立って！」