恐怖姉妹

自分が守らなければいけない人がいる。
その気持ちは奏汰を随分と強くしたみたいだ。

「外に出たいんだけど」
奏汰の言葉を女子たちがせせら笑う。

「勝手に出ればいいじゃん」
「私達が邪魔してるとでも言うの?」

後方からはさっきの男子生徒が奏汰の体を小突いて遊んでいる。
そんな中、トイレに立っていた拓真が後方のドアから戻ってきた。

奏汰の視線が拓真に釘付けになる。
あいつのせいでイジメられている。

あいつは悪いやつだ。
あいつさえいなければ……。

咄嗟に奏汰は拓真へ向けて走っていた。
不意を疲れて奏汰を取り囲んでいた生徒たちが手を伸ばしても、もう届かなかった。

「ああああああ!!」