恐怖姉妹

思っていた通り奏汰はジッと梨里を睨みつけてくる。
机の中の物が散乱したのは梨里のせいだから、それを思い出しているんだろう。

「大切なことだから、ここじゃちょっと」
そう言うと奏汰は渋々立ち上がり、梨里と一緒に教室を出た。

「どこかで仲間が待ってるとか?」
人のいない中庭へと移動しながら奏汰が聞いてきた。

「え? なにそれ?」
「昨日の放課後そうだったから」

短く返事をする奏汰の顔には表情がない。
すっかり内にこもってしまったみたいだ。

「そんなことしないよ。本当に大切な話なの」
中庭のベンチに並んで座ると、梨里は緊張を隠すように大きく深呼吸をした。